医療とITの架け橋になれる存在「医療情報技師」
その重要性が増す中、資格に興味を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一方で、
「仕事をしながら独学でも合格できる?」
「医療またはITの知識がなくても大丈夫?」
「テキストや問題集はどれを買えばいい?」
と不安に感じる方も多いと思います。
この記事の内容
- 医療情報技師は独学で合格を目指せるのか
- 独学におすすめの教材・参考書
- 3分野それぞれの勉強方法
- 仕事をしながら勉強を進めるコツ
現役医療事務講師のすずきです。
現在も医療機関での仕事に携わりながら講師をしています。
第22回(2024年度)医療情報技師認定試験に初受験・独学で合格しました。
医療分野には長年携わっていましたが、情報処理についてはほぼゼロからのスタートです。
しかも、本格的に勉強を始めたのは試験の約1か月前。
仕事や体調と両立しながらの受験でしたが、
勉強する範囲と優先順位を絞ったことで合格することができました。
医療情報技師は決して簡単な試験ではありませんが、
現在の知識に合わせて教材と勉強方法を選べば、独学でも十分合格を目指せます。
この記事では、私が実際に使った教材や勉強方法をもとに、
独学で合格するためのポイントを解説します。
筆者のスペック

医療事務歴20年以上
現在も医療機関で、日常業務や診療報酬請求など医事課に関係する業務サポートを行いながら、
医療事務講師としても仕事をしています。
保有資格は医療情報技師のほか、
・診療情報管理士
・医師事務作業補助者
などがあります。
そのほかの保有資格はこちらにまとめています。

医療事務に長年携わっているため、医学・医療保険分野については受験前からある程度の知識がありました。
一方で、情報処理はそれまで一度も勉強したことがありません。
医療情報システムについても、試験勉強を通して初めて知る内容が多くありました。
そのためこの記事では、
「医療のことはわかるけれどITが苦手」
「逆にITはわかるけれど医療分野が不安」
という方にも、どこに重点を置いて勉強すればよいのかをお伝えしていきます。
医療情報技師とは?
医療情報技師は、医療とITの専門知識を活かし、
医療現場での情報管理やシステム運用などに携わる専門資格です。
医療現場では電子カルテをはじめ、多くのITシステムが使われています。
具体的な仕事内容は職場や役職によって異なりますが、
新しい医療システムの検討・導入
スタッフへのシステム操作の説明
ソフトウェアやハードウェアのトラブル対応
医療データのセキュリティ管理
などに関わることがあります。
なお、2026年度の医療情報技師能力検定試験では3,452人が受検し、合格率は35.7%でした。
独学で合格を目指すことはできますが、何となくテキストを読むだけではなく、
試験範囲と自分の得意・不得意を把握して学習することが重要です。
試験科目や受験資格など、試験そのものについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

次回の2027年度試験は、2027年8月22日(日)に実施予定です。
独学で挑むための準備

独学に必要な教材
医療情報技師の学習には公式テキストと過去問題集がおすすめです。
医療情報技師育成部会のホームページに案内がありますが、
これらの書籍を全て買う必要があるか?というとそうではありません。
実際に購入したテキストと過去問題集は以下の4冊です。
過去問題集は傾向を掴んだ学習に必須となります。
その他のテキストは、
情報処理の知識が十分にある方は情報処理分野は購入する必要はないでしょう。
私自身も後述する参考書を購入したことで、
唯一購入しなくても良かったと思ったテキストでした。
おすすめの参考書
管理人のような医療機関での経験者で、
医学や医療システムは多少の知識があるが、情報処理は全くわからない・・・
という方におすすめしたいのはITパスポートの参考書です。
情報処理の勉強を一度もしたことがなかった管理人は、
公式テキストに書いてある言葉の意味が難解で全く頭に入りませんでした。
基本的な内容なのかすら判別できない状態です。
そこで書店でITパスポートの参考書をぱらぱらめくり、
わからなかった単語がのっているようであれば買ってみようと思いました。
これが大正解。
用語が初心者にもわかるように優しく説明されており、
有名資格であることから種類も豊富です。
この1冊を読み足りないところはネットで調べたことでかなり理解できましたので、
情報処理分野の公式テキストは購入しなくて良かったと思いました。
効率的な学習スケジュールの立て方

試験日から逆算したスケジュールの作成法
試験は毎年8月に行われます。
勉強開始時点でどれくらい知識があるのか
毎日どれくらい勉強時間をとれるのか
これらを考えてスケジュールを作成する必要があります。
また、仕事の繁忙期があったりする場合にはそれも加味しなければなりません。
管理人は受験を決めかねた状態で受験年の4月に過去問題集を初めて手に取りました。
とはいえ、本格的に学習を始めたのは7月です。
短期集中が得意であれば直前からの学習。
長期的にコツコツ勉強したい方は4月くらいからで計画するのがおすすめです。
科目別の学習時間配分と優先順位
3つの分野で既に理解できている分野があるかどうかで配分や優先順位が分かれます。
まずは過去問題を解いてみましょう。
管理人は勉強前から医学の分野は合格ラインに到達できそうだったため、
ここには時間を割かないと決めました。
逆に知識がほぼない情報処理分野では用語の意味から調べていくためかなり時間がかかりました。
スキマ時間や移動中などを使うことが多かったですが、
最も優先的に取り組んだ分野です。
どの分野もこれまで勉強したことがないという方は、
医学を後回しにしましょう。
医学の公式テキストでは病気の解説部分もあり、
病気についても知らないと合格できないのでは?と不安になります。
病気までしっかり勉強しようとしたのではとてもではありませんが時間がいくらあっても足りません。
それよりも用語などがはっきりと学習しやすい情報処理、医療情報システムの学習をどんどん進めていきましょう。
各分野の学習方法とコツ

どの分野でも次のような進め方で学習します。
- 過去問題で出題傾向の雰囲気を知る
- テキストを一通り読んでみる
- 過去問題を解く
- 解答の解説を読む
- わからなかった用語を調べてノートに書きだす
- 間違えた問題はできるようになるまで繰り返す
どの分野もまずは過去問題を解いてみましょう。
どんな問題が出るのか、どのような問われ方をするのかを確認します。
最初は全くわからなくても問題ありません。
わからなすぎて心が折れそうになるので、
開き直って眺めるくらいの気持ちで十分です!
既に仕事などで理解できる分野があればラッキーくらいの気持ちで直近2回分くらいは目を通していきます。
テキストを読む手順からは分野別に解説していきます。
医療情報システム
医療情報システムだけではなく、情報処理の分野でも同じことですが、
とにかく用語が多い。
似たような・・・というかみんな一緒に見えてきます。
その中でもPACS、DICOMについては必須です。
公式テキストが450ページほどありますが、一通り目を通しました。
よくわからなくてもいいので、どんなことが書いてあるか読み進めていきます。
その中で「この用語は過去問題で見た!」というページにはひとまず付箋をつけました。
テキストが重たかったのですが、この作業は通勤時に行っていました。
自宅などで勉強する際には過去問題を解いていきます。
できた問題でも解答の解説は読みます。
わからない用語があれば公式テキストで確認し、
その意味をノートに書きだしていきます。
公式の過去問題集では過去5回分の問題が収録されているので、
5回分を同じ作業で1周します。
わからない用語が多ければ多いほど時間がかかりますが、
最初のこの作業がのちに大きく役立ちますので頑張りましょう。
そのあとは間違えた問題だけを出来るようになるまで繰り返します。
ほとんどできるようになったら最後に全問題を通して1周で仕上げです。
私はテキストを読んだあとから5周しています。
情報処理技術
用語だらけです。
特にこれまで情報処理を勉強したことがない管理人にとっては何に関連する用語なのかすら判別できませんでした。
どこにいってもプロトコル。
プロトコルってなんだよ・・・そんなレベルでした。
これでも合格できたので、
私と同じように情報処理の勉強をしたことがない方も諦めないでください。
情報処理の分野では公式テキストを見ても何の話か分からないところが多く、心が折れました。
そこで使用したのが、先にもご紹介したITパスポートの参考書です。
参考書は種類が豊富なので実際に手に取って見やすいと感じる1冊を選んでください。
私が選んだのはこちら、
テーマごとに簡潔にまとめられており、
用語の説明もわかりやすそう(購入時点では意味がよくわっていないので感覚的に)だったという理由で選んでいます。
国家資格で歴史もある程度ある資格の場合、
記載されている情報には大きな差はないのではないかと思います。
是非見やすそうな1冊を選んでください。
まずはこの1冊を読みますが、
当然試験範囲が被らない箇所もあります。
そのため、しっかり理解しようというよりは大枠で情報処理を捉えるイメージでどんどん読み進めました。
そのあとは医療情報システム同様、過去問題を解いていきます。
わからない問題は多くの場合、用語の意味がわからないことによるものです。
用語の意味をITパスポートの参考書で調べます。
載っていないものは公式テキストで確認しましたが、説明が難しくネットで検索することが多かったです。
特にRAIDは大分混乱しました。
その時に助けていただいたのがこちらのサイトです。

読みながら実際に自分でも書きました。
過去問題を見る限り出題はされると思ったので、捨てることはできません。
本番の試験でも出ました。こちらのサイトには感謝です!
その他におさえておきたい箇所は、論理演算、共通・公開鍵暗号方式、OSI参照モデルです。
あとは医療情報システム同様、過去問題を解いていきます。
できた問題でも解答の解説は読みます。
わからない用語があれば公式テキストで確認し、
その意味をノートに書きだしていきます。
公式の過去問題集5回分を同じ作業で1周。
そのあとは間違えた問題だけを出来るようになるまで繰り返します。
ほとんどできるようになったら最後に全問題を通して1周で仕上げで、
管理人はテキストを読んだあとから5周しています。
医療情報システムも医療に関するとはいえ、情報処理と学習量はそれほど変わらなかったです。
医学と医療
筆者は医学についてはある程度の知識があったたこと、
医療保険制度について理解していることで過去問題では学習前から合格点に到達できそうでした。
そのため、医療統計のあたりを学習したくらいで済みました。
医療保険制度、診療報酬請求について、
解剖や病気についても問われるため範囲がかなり広くなります。
検査や画像なども知識があったため楽に受験できましたが、
この分野を初めて学習する方にはかなり厳しいでしょう。
テキストを1周しますが、
病気や検査などはとばしてしまい、過去問題で出てきた箇所を学習していきましょう。
初めて学習される場合、
解剖や用語など調べ始めるとキリがありません。
解答の解説は読み、わからない用語などは公式テキストで確認し、
ノートに書きだしていきます。
あまり詳しく書き出してしまうと膨大な量になるため、
キーワードだけで良いでしょう。
公式の過去問題集5回分を同じ作業で1周。
そのあとは間違えた問題だけを出来るようになるまで繰り返します。
ほとんどできるようになったら最後に全問題を通して1周で仕上げです。
試験直前の対策

ここでは直前期の対策を解説していきます。
試験1週間前にやるべきこと
試験1週間前は次の点に注力します。
- 苦手問題の見直し
- 書き出したノートを毎日見る
仕事もしつつの1週間です。
ここで新しい知識を無理に増やすことは危険です。
ここまで学習した内容をしっかり固めていきます。
苦手問題は何度も間違えてしまった問題、意味が曖昧な問題です。
何度やってもできる問題は試験でもできます。
限られた時間、不安になりますが、苦手問題を絞りましょう。
用語を書き出したノートは眺めるだけでもいいので毎日見るようにします。
緊張を和らげるための心構え
管理人としては科目合格があることが精神的負担を軽くしてくれていました。
落ちても来年は不合格だった科目に注力すれば良いと思い臨んでいました。
もちろん1回で合格したい。
でも、落ちても大丈夫という安心感です。
3科目もあると1日がかりです。
真夏という時期で体力も消耗します。
ぐっすり寝ていくこと。
当日余裕をもって試験会場に向かえる準備をしておくことで、
落ち着いて試験当日を迎えられます。
独学合格者の体験談とアドバイス

管理人の試験結果です。
情報処理はヒヤヒヤしました・・・
独学で成功した管理人の勉強法
2024年は初めて診療報酬改定が6月に行われ、
私自身、イレギュラーな対応が求められた年でもありました。
届出のチェックや新点数の勉強会などで4月から6月までは厳しいスケジュールとなり、
また、講師としての授業数が増えて疲労もたまり試験直前の7月には体調を大きく崩してしまいました。
そのため本格的に勉強したのが試験1カ月前から。
体調も万全ではなく、とにかく試験に行くことを目標にしていたくらいです。
主に移動中での学習と、
帰宅後に2時間程度の学習を行っていました。
日によっては何も勉強できないこともありましたが、
苦手箇所をまとめたノートの見直しは何度もしていたと思います。
医学には時間を割かないと決めることができたことも合格に大きく影響しました。
挫折を乗り越えるためのメンタルケア
情報処理の分野では用語の意味が全く分からず、
一度挫折しかけました。
体調不良も重なり、
情報処理だけは来年受験かな・・・と諦めモードに。
受かればいいなと思いつつも、気負いすぎずやれるだけやろうと力を抜けたことが一番のメンタルケアに繋がったと思います。
モチベーションを保つための工夫
合格したときのことをイメージしましょう。
これで給料が増える
この資格で転職できる
など、何でもいいと思います。
管理人は合格したらみんなに自慢しよう♪という気持ちでいました。
情報処理は初めて勉強した分野でしたが、
合格出来たら次は情報処理関係の資格も勉強してみようと考えていたくらいです。
共通して言えることは、
合格後の嬉しい気持ち
これをイメージすることが大切だと思います。
仕事をしながら資格勉強をしていると、疲れて勉強できない日が続くこともあります。
私自身も、予定どおり勉強できない時期がありました。
「勉強しなきゃと思うのに進まない」
「仕事のあとに勉強する余力がない」というときの立て直し方は、
こちらの記事にまとめています。

資格勉強そのものが止まってしまったときは
資格の勉強では、「何を勉強するか」だけでなく、
仕事や疲労で止まったあとにどう戻るかも大切です。
「計画を立てても続かない」
「仕事のあとに勉強できない」
「一度止まると、そのまま何日も過ぎてしまう」
という社会人向けに、勉強を立て直す考え方と具体的な方法はこちらにまとめました。

まとめ:医療情報技師を独学で目指すあなたへ

医療情報技師の試験は、医療とITの両方の知識が求められるやりがいのある資格です。
適切な教材を選び、効率的なスケジュールを立て、ポイントを押さえた学習をすれば、独学でも十分に合格を目指せます。
独学合格に必要な教材は、
- 過去問題集
- 公式テキスト(情報処理技術はなくても可)
- ITパスポートの参考書(情報処理の勉強が初めての人におすすめ!
学習の進め方の基本は、
-
- 過去問題で出題傾向の雰囲気を知る
- テキストを一通り読んでみる
- 過去問題を解く
- 解答の解説を読む
- わからなかった用語を調べてノートに書きだす
- 間違えた問題はできるようになるまで繰り返す
医療とITの知識が求められる試験のため、
合格への道のりは決して楽ではありませんが、計画的な努力を積み重ねれば必ず結果に結びつきます。
医療情報技師の取得があなたのキャリアに新たな扉を開くことを心より応援しています!
これは買う!過去問題集
情報処理技術の初学者にはITパスポートの参考書がおすすめ
もっと体系的に学びたい方へ
noteでは、医療情報技師の独学対策をさらに詳しくまとめています。
合格までの学習計画、頻出テーマ、計算問題、医療情報システム、試験直前の確認ポイントまで
必要な内容を一つずつ確認できます。
2026年度版コンプリートマガジンは、11月30日まで販売予定です。

医学・医療総論の頻出テーマ攻略は無料でご覧いただけます。

X(旧Twitter)でも、
対策情報を随時ポストしますので是非フォローもよろしくお願いいたします。

コメント